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2017年5月29日 (月)

ティファニー

 デビー・ギブソンのことを調べていたら、彼女とティファニーはライバル同士だったという記述が見つかった。
 確かに、同時期に、しかもほぼ同じ年齢で活動していたから、ライバルだったかどうかは別にして、お互いに意識していたことは間違いないだろう。

 個人的には、ライバル云々というのは、周りの人たちがプロパガンダに使用した感じがする。お互いそれで名前が(曲も)売れていったのだから、双方に利点があったような気がしてならない。

 それで、今回はそのティファニーのことについてである。ティファニーといえば、「ティファニーで朝食を」とか、宝飾品のティファニーのことを思い出してしまう。
 だからというわけではないが、“ティファニー”という名前は、てっきり芸名だと思っていた。でもよくよく調べたら、本名ということが分かってビックリした。Hqdefault
 彼女の本名は、ティファニー・ダーウィッシュ(もしくはダーウィッシ)という。1971年10月2日生まれなので、今年で46歳になる。まだまだ若い部類に入るだろう。

 彼女は2歳の時に、従姉のダーラからヘレン・レディの"Delta Dawn"を教えてもらったと回想している。
 本当かどうかは不明だが、本人がそういうのだから間違いないだろう。それで5歳の時には、母親に将来は歌手になると言ったと言われている。

 それから、人前で初めて歌ったのは9歳の時だったらしい。故郷であるカリフォルニアのノーウォークのバーベキュー・パーティで、地元のバンドのカントリー・ホウダウナーズと共演した。ちなみにこのバンドは、名前の通り、カントリー系のバンドだった。

 その後もこのバンドとともに活動をつづけたようだが、その時はまだ12歳だった。12歳の少女が恋愛の歌、それも浮気や駆け落ちなどのドロドロした恋心を歌っていた。

 彼女の歌唱力や歌の技法には優れたものがあったが、如何せんまだ12歳、歌詞の内容とかけ離れたものがあり、説得力も欠けていたことから、彼女はカントリー・ソングをあきらめ、ポップスの世界に足を踏み入れたのである。

 ともかく、彼女は歌手になるために、スタジを借りてデモ・テープを録音していた。その時、スタジオの所有者で、しかもちょうどその隣の部屋でスモーキー・ロビンソンのレコーディングを手伝っていたプロデューサーのジョージ・トビンが、興味本位でティファニーの録音を見学したところ、あまりの歌のうまさにビックリしたらしいのだ。

 トビンは、すぐに彼女のことを気に入ったのだが、まだ12歳でもあり、しばらく様子を見ることにした。もちろん連絡は取り合っていて、それから約1年後に本格的にレコーディングを始めた。

 その時48曲をレコーディングしたのだが、そのうちの1曲、1967年に全米4位まで上昇したトミー・ジェイムズとションデルズの"I Think We're Alone Now"はトビーの大好きな曲でもあった。

 ただ、ティファニーは自分が生まれる前の曲で、聞いたこともなかったので、最初は歌うのに消極的だったようだ。アルバムから最初にシングル・カットされたのが、アルバムの中の別の曲だった"Danny"であることからも、それはわかると思う。

 ところが、ユタ州のラジオ局のプロデューサーがこの曲をオンエアしたところ、大きな反響があったため、レコード会社のMCAにシングル・カットを勧めたのである。

 こうした予期しなかった幸運が重なって、"I Think We're Alone Now"はシングル・カットされた。世の中何が僥倖につながるかわからない。幸運は、時として、予期しない方向から歩いてくるようだ。

 この曲は、1987年の11月に2週間だけ全米シングル・チャートで首位を獲得した。その時、彼女は全米のショッピング・モールをツアー中で、カラオケのテープで歌っているときに知ったという。

 この曲を含む彼女のデビュー・アルバム「ティファニー」は、1987年の9月に発表された。このアルバムからは5曲がシングル・カットされていて、そのうちチャートの首位になったのが2曲、ベスト10以内に1曲、50位以内に1曲がチャート・インしている。815ahxil7hl__sl1404_
 さらには、アルバム自体もカナダ、ニュージーランド、アメリカで1位を記録したし、イギリスでは5位、オーストラリアでは6位と、英語圏では記録的な大ヒットを残していて、まさにセンセーショナルなデビューとなったようである。

 もちろん彼女は歌うだけなので、ソング・ライティングには関わっていないのだが、その歌唱力や表現力は、とても15歳前後の女の子とは思えないものだった。自分なんかは、若返ったスティーヴィー・ニックスかグレイス・スリックかと思ったものだ。

 アルバムの4曲目に収められていた"Feelings of Forever"は、純愛もののバラード・ソングだが、曲に起伏があり、しかもそれを切々と歌っていて、聞いただけではとても中高生ぐらいの女の子が歌っているとは思えないのだ。この曲はシングル・チャートで50位を記録した。

 ザ・ビートルズのレノン&マッカートニー作品の"I Saw Her Standing There"は"I Saw Him Standing There"と一部変えられて歌われていて、原曲以上にノリノリの曲に仕上げられていた。ティファニーは、バラードだけでなく、こういうロックンロールの曲も歌いこなすことができた。この曲は、チャートでは7位まで上昇している。

 彼女の首位になったもう1曲は、アルバムの最後のバラード曲"Could've Been"である。邦題は“思い出に抱かれて”というものだった。
 この曲は、翌年の1988年の2月に2週間首位に立ったが、この時彼女はまだ17歳だったし、この曲をレコーディングしたときは、まだ13歳だった。

 この曲を作った人は、ロイス・ブレイッシュというシンガー・ソングライターだったが、彼女が失恋を経験した結果、この曲が生まれた。
 プロデューサーのトビンは、この曲の版権を買い取り、クリスタル・ゲイルやドリー・パートン、ナタリー・コールなどに歌ってもらうことを望んでテープを送ったが、誰も何も言ってこなかった。

 それで、ティファニーにレコーディングをしてもらったという経緯があったのだが、見事チャートの1位になったのだから、世の中、何がどうなるかわからないものである。
 確かに、彼女の人気の高さがチャートに影響を与えたことは間違いないだろうが、それでも連続して2曲をチャートの首位に送り込むには、それなりの実力があってからこそだろう。

 一説には、2曲連続してチャートの首位になった曲を歌った女性シンガーは、ブレンダ・リー以来2人目らしい。ただ17歳という若い年齢だったのは、ティファニーだけのようだ。81wlnrmbkyl__sl1500_
 ティファニーとデビー・ギブソンを比べてみると、ティファニーはアップテンポの曲でも、バラード曲でも、両方チャートの1位になったが、デビー・ギブソンの方はバラード曲だけしか1位にはなれなかった。
 しかし、デビー・ギブソンは、作曲能力やアレンジ、プロデュース能力を身に着けていて、音楽的素養という面ではデビー・ギブソンの方が優れていたようだ。

 あまり意味がないとは思うけれども、両名ともデビューして2~3年で人気が下降していった。デビー・ギブソンは、ミュージカルの方面に興味を示したからだが、ティファニーの方は、ゴシップや両親のマネージメントへの介入などが、イメージ・ダウンにつながったようだ。

 ただ、それでも1988年に出されたセカンド・アルバム「フレンズ」は、アメリカではプラチナ・ディスクを獲得していて、ビルボードのアルバム・チャートでは17位になっている。
 シングルも5曲カットされていて、そのうち"All This Time"は6位、"Radio Romance"は35位を記録した。51z5scddxgl
 ティファニーは、今もコンスタントにスタジオ・アルバムを出していて、最近では2016年に「ア・ミリオン・マイルズ」というタイトルのアルバムを発表している。
 また、女優として映画やテレビにも出演していて、2011年にはデビー・ギブソンと昔の確執を皮肉ったようなコメディ映画で共演していた。

 まだまだ45歳のティファニーである。昔の歌唱力や表現力がまだ備わっているのであれば、十分現役として活動できるはずだ。単なる懐メロ歌手で終わることなく、さらにもう一花咲かせてほしいものである。


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コメント

はじめまして
ティファニーってことで絡みついてしまました
ティファニーはセカンドが好きです
オール ディーズ タイムの背伸びをしながらもティーンらしいかよわさが出る素敵なアイドルでしたね
同曲はマイケルトンプソンも参加してますし、期待されたアイドルだったんでしょうね

投稿: まつもっきー | 2017年8月 2日 (水) 12時19分

コメントありがとうございました。まさかティファニーにコメントがつくとは思ってもみませんでした。当時は日米で人気が高かったことがよく分かります。

 私も彼女のルックスのみならず、歌い方や歌のうまさなどで、他のシンガーとはちょっと違うぞと思っていました。これでもう少し作曲能力があれば、もっと有名になったでしょうね。
 とにかくいまだに話題になるくらいですから、インパクトは強かったと思います。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2017年8月 2日 (水) 20時47分

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