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2017年5月 1日 (月)

ブルーノ・マーズの新作

 といっても、このアルバムは昨年発表されたもので、すでに4ヶ月以上もたつ。でも自分にとっては、まだ新作だし、アメリカのアルバム・チャートでは4月1日現在で第6位に、シングル・チャートでも"That's What I Like"が2位に付けている。

 アルバム・タイトルは「24K・マジック」というもので、“K”は“カラット”を意味するようだ。ということは“24カラット”なのだろう。いうまでもなく“24カラット”は、金の純度でいうと“純金”という意味になる。

 要するに、アルバム・タイトルは、「純金のような魔法」ということであり、“純金のような魔法で彩られた音楽”を意味している。それだけ自信があるのだろうし、本人も納得がいったアルバムだということだろう。

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 ブルーノ・マーズについては、一度このブログでも取り上げているのだが、21世紀の“キング・オブ・ポップス”とも呼ばれているミュージシャンでもあるので、この素晴らしいアルバムの発表を記念して、もう一度述べてみたい。

 ブルーノ・マーズは、現在31歳、今年の10月に32歳になるミュージシャンだ。ハワイ出身で、高校卒業後にロサンゼルスに出てきたあと、“ザ・スミージントンズ”というプロデューサー・チームを結成して、アルバム制作に携わるとともに、自身でも他の人のアルバムに客演して歌うようになった。

 2010年にはデビュー・アルバム「ドゥー・ワップ&フーリガンズ」を発表した。アルバム・タイトルにはロマンティック性とワイルド性の両義が含まれているという。
 このアルバムからは、"Just The Way You Are"と"Grenade"の2曲が全米シングル・チャートで1位を記録した。61lnju8w6ll__sl1085_

 その結果、2011年の第53回グラミー賞で6部門にノミネートされ、「最優秀ポップ・ボーカル賞」を受賞している。

 さらには、2011年の世界デジタル・シングル売り上げトップ10では、"Just The Way You Are"が1250万ダウンロード、"Grenade"が1020万ダウンロードで、これもまたそれぞれ1位と2位を記録した。

 まだまだ、彼の記録は続く。セカンド・アルバムの「アンオーソドックス・ジュークボックス」は2011年の終わりに発表されたが、ここからも"Locked Out Of Heaven"と"When I Was Your Man"の2曲が全米No.1に輝いている。

 このアルバムは全米で400万枚以上、全英で150万枚以上売り上げていて、当然のことながら両方のアルバム・チャートで1位を獲得した。
 その後、ブルーノ・マーズはワールド・ツアーを行い、足掛け2年にわたって計154公演を開催して、約160億円の売上げを記録した。

 とにかく、この人とアデルは、現代のポップ・ミュージック界を牽引しているようだ。2014年にはマーク・ロンソンとの共作曲"Uptown Funk"が全米14週連続1位を記録して、2015年の年間シングル・チャートでも首位になり、翌年に行われた第58回グラミー賞では、最優秀レコード賞と最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞の2部門で受賞してしまうのである。

 そんな彼が満を持して発表したのが、4年ぶりの新作アルバム「24K・マジック」だった。1年半にわたりスタジオに閉じこもって曲を書き続けていて、全9曲すべてを50回以上書き直したと、本人はインタビューで応えている。516ally2bvl_2
 このアルバムの基本的なコンセプトは、ゴージャス感である。それまで彼は、ラフな姿でレコーディングを行っていたが、このアルバムではアルバム・ジャケットの写真のように、ヴェルサーチのシャツを着て、ゴールドのネックレスをつけて行っている。上記にもあるように、ここからアルバム・タイトルが浮かんだようだ。

 同時に、ブルーノ・マーズは、このアルバムから幸福感やラグジュアリー感のような高貴な気分を感じてほしいと述べているが、実際、今までの2枚のアルバムよりは、かなり濃密でファンキーな傾向が強くなっている。

 イントロのトーキング・モジュレイターの使用からまさにマイケル・ジャクソン張りの叫び声を含むファンク・チューンの"24K Magic"、途中のキーボード・サウンドがこれもまた90年代のソウル/ファンク・ソングを想起させる"Chunky"、チョッパー・ベースとギターのカッティングがジェイムス・ブラウンの曲に似ている"Perm"など、冒頭からファンク臭プンプンである。

 4曲目の"That's What I Like"はシングル・カットされて、全米2位を記録した。ポップでありながらファンキーな雰囲気を携えていて、確かに売れそうな曲だ。

 次のバラード"Versace On The Floor"は前作までの傾向を持ったポップなメロディが印象的な佳曲だ。マイケル・ジャクソンがもし生きていたら、この曲を歌わせてくれというかもしれないし、少なくともブルーノ・マーズとの共演を望むだろう。

 アルバムも後半になると、少しはファンク色が薄れてきて、"Straight Up And Down"はミディアム・スローのバラードで、一部シャイの1993年の曲"Baby I'm Yours"がサンプリングされていた。
 7曲目の"Calling All My Lovelies"もミディアム系の静かな曲に仕上げられていて、女優のハル・ベリーも電話の声で友情出演している。

 次の"Finesse"は、何となく日本人の久保田利伸の曲のような、ファンキーでノリのよいナンバーだった。
 そして最後の"Too Good To Say Goodbye"は、かつての"Talking To The Moon"や"It Will Rain"のような美しいバラードで、最後を飾るにはもってこいのお涙頂戴ソングである。

 この曲のクレジットには、あの90年代に一世風靡したメロディ・メイカーのベイビーフェイスもクレジットされていて、まさに鉄板のソングライティング・チームの曲というべきものだろう。

 どの曲も印象的で、ブルーノが50回以上書き直した軌跡が見て取れるものになっている。

 ただ、唯一残念なのは、収録時間が合計で33分28秒しかないことだ。わずか9曲しか収められていないので仕方がないといえば仕方がないのだが、せめてもう2~3曲入れてほしかった。彼のファンならみんなそう思うんじゃないかなあ。

 とにかく、このアルバムはR&Bやファンキー路線を重視したアルバム作りになっている。デビュー作や2枚目のアルバムは、ソウル色の強いシンガー・ソングライターのアルバムといった感じだったが、ここにきてさらに一段とソウル/ファンク色を強めたようだ。

 今までのメロディアスな曲調からリズムを強調した作りになっていて、歌って踊れて、みんなが楽しめる要素を取り入れている。ここでもアルバム・タイトルのようなラグジュアリー感が、反映されているように思える。

 これが80年代~90年代ならブラック・コンテンポラリーと呼ばれるのだろうが、今の時代では、そういう言い方はあまりしなくなった。これも時代の移り変わりというものだろう。
 ただ、時代は変遷しても、聞いてハッピーになるような美しい楽曲を望む気持ちは、いつでも変わらない。

 ブルーノ・マーズの天才的なソング・ライティングは、時代の流れを敏感に受け止めながらも、我々一般大衆のポピュラーな音楽感覚からは離れてはいない。これが続く限り、彼の作る楽曲は、夜空の星のようにますます輝いていくだろう。 


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