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2018年1月 1日 (月)

今年は戌年

 明けましておめでとうございます。本年も「ろくろくロック夜話」をよろしくお願い致します。このブログを見ている皆様方に、今年が幸多く、希望の叶う年になることを願っています。

 今年は2018年、平成でいうと30年で、干支でいうと戌年に当たります。それで、新年第1回目の記念すべき今回は、例年のごとく“犬のあるアルバム・ジャケット”を特集してみたいと思います。とにかく、たくさん集めましたので、最後までご覧いただければと思います。

 まずは有名どころから。エリック・クラプトンの1975年のアルバム「安息の地を求めて」です。前作の「461オーシャン・ブールヴァード」の成功を受けて、その延長線上で制作されたアルバムで、"I Shot the Sheriff"のようなレゲエ調の"Swing Low, Sweet Chariot"、"Little Rachel"や"Don't Blame Me"などが収められていました。41zmse6k2nl
 元々のタイトルは「EC is God...There's One in Every Crowd(エリック・クラプトンは神だ...しかし社会の中ではひとりの人間に過ぎない)」という自己批評したものでしたが、レーベル側が拒否して、後半の部分だけを取り上げたといわれています。
 この時期のクラプトンは、ドラッグとアルコールでまともな生活を送ることができていませんでした。そのせいか、アルバムとしても少し輝きが失われているようです。

 次は、アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドのパヴロフス・ドッグの1975年のアルバム「禁じられた掟」です。イエスのジョン・アンダーソンよりももっとキンキンで、ビブラートのかかった声は、良くも悪くも印象的でした。51kevdwwzgl
 また、演奏もバイオリンやメロトロンなどが使用され、複雑な曲構成になっていて、アメリカでもプログレッシヴ・ロックの流れが脈々と流れているんだということが実感できたアルバムでもありました。

 1978年のレオン・ラッセルは、「アメリカーナ」というアルバムを発表しました。当時は“クロスオーヴァー/フュージョン”とか、“アダルト・オリエンティッド・ロック(A.O.R.)”や“ミドル・オブ・ザ・ロード(M.O.R.)”といった音楽が流行っていました。
 特に、ボズ・スキャッグスなどは、この流れに乗って世界的な知名度を得たといわれても仕方ないほど、一躍、時の人になりました。

 もともと彼は、デュアン・オールマンと一緒にアルバムを作るなど、ブルーズを基調とした音楽をやっていたわけで、その成功を目の当たりにしたレオン・ラッセルも自分もと考えてこのアルバムを制作したのかもしれません。今となっては二度と聞けないレオンのお洒落なアルバムです。興味のある方は、ぜひご一聴してみて下さい。51lvq5uigyl
 さて、どんどん行きましょう。アイルランドの超有名ボーカリスト、ヴァン・モリソンの2枚のアルバムから。まずは隠れた名盤「ヴィードン・フリース」は、1974年の作品です。以前の彼のアルバム「テュぺロ・ハニー」や「ムーンダンス」よりは知名度は落ちると思いますが、むしろアイリッシュという彼の原点が伺える素晴らしいアルバムだと思います。

 彼のアルバムは、どれも水準が高くて駄作なしと言われていますが、確かにどのアルバムもその時期の彼の姿をとらえており、どれもこれも一聴に値するものばかりです。51caajfvsjl
 「ヴィードン・フリース」より約20年。1995年には「ディズ・ライク・ディス」というアルバムを発表しました。このアルバムは、ややポップ寄りのヴァンの姿をとらえていて、自分的にも好きなアルバムです。
 最初は中古CDショップで、このアルバムの国内盤を見かけたので購入しましたが、今も愛聴しています。ヴァンについては、今後もこのブログで記していきたいと思っています。51zy9hqmddl
 続いては、デヴィッド・ボウイの1974年の作品「ダイヤモンドの犬」です。イギリスの作家ジョージ・オーウェルの「1984年」に触発を受けて制作されたコンセプト・アルバムでしたが、目立つシングル・ヒットが生まれずに、また後半のメドレーも何となく澱んでいて、全体的に不発だった感じがしました。71vcf3rggel__sl1300_
 ただ、表ジャケットだけを見ても犬かどうかはわからないと思ったので、裏ジャケットも載せました。半人半獣というところでしょうか。717du2qjftl__sl1200_
 スリー・ドッグ・ナイトはバンド名自体に“ドッグ”が付いているので、探せば何かあるだろうと思っていましたが、なかなか見つからずに苦労しました。
 オーストラリアのアボリジニーの人たちの間では、“寒い夜は3匹の犬と一緒に寝ればしのげる”という伝承があるそうですが、実際は3匹ではなくて5匹だそうです。スリー・ドッグ・ナイトには3人のリード・ボーカリストがいたので、3匹にしたのかもしれません。

 そんなスリー・ドッグ・ナイトの1975年のアルバム「カミング・ダウン・ユア・ウェイ・バイ・スリー・ドッグ・ナイト」のジャケットの片隅に犬が写っています。この頃のスリー・ドッグ・ナイトの人気は、ヒット・シングルに恵まれず、下り坂でした。そのせいか、このアルバムは、3人のボーカリストがそろった最後のアルバムになりました。41je67vzdl
 ただ、彼らの名誉のために一言申し上げておきますが、スリー・ドッグ・ナイトは無名の作曲家の作品を取り上げることが多く、その曲がヒットしたため、作曲者ものちに有名になるという結果をもたらしています。例えば、ハリー・二ルソンやレオ・セイヤー、ランディー・ニューマン、ラス・バラード、ローラ・ニーロなどがいました。
 それに1968年から1974年までは彼らの全盛期で、ビルボードのトップ40に21曲チャート・インさせ、そのうち3曲がNo.1になっています。

 イギリスにブラーという名前のバンドがいますが、彼らの全英1位に輝いたアルバムに「パークライフ」があります。1994年のアルバムですが、当時のイギリスで猛威を振るっていた“ブリット・ポップ”という流行時のピークにあたる時期に発表されたものです。81egrbtwg2l__sl1403_
 当時のイギリスでは、60年代の“ストーンズ派”と“ビートルズ派”と同じように、“オアシス派”と“ブラー派”に分かれていましたが、その“オアシス派”を黙らせたのが、このアルバムでした。個人的には、そんなに名盤とは思えないのですが、確かに一時代を作ったアルバムとは言えるでしょう。

 今度は、ややマイナーなアルバムに焦点を当てることにします。アメリカの3人組オルタナティヴ・ロック・バンドのキングスX(エックス)の1994年のアルバム、その名も「ドッグマン」です。41rokpbe5pl
 このバンドは窓口が広くて、ハード・ロックからパンク・ロック、ややプログレッシヴ・ロック寄りのサウンドまで、自分たちの可能性を試すかのように様々なサウンドを表出させています。このアルバムではちょっと尖がったようなハード・ロックをやっています。個人的には好きではありませんでした。

 次もアメリカのバンド、ザ・フォーマットです。彼らの2006年のセカンド・アルバム「ドッグ・プロブレムズ」のアルバム・ジャケットです。
 ザ・フォーマットは2人組のインディー・ロック・バンドで、メロディアスでポップな音作りが特徴でしたが、残念ながら2008年に解散をしました。518xjjabqil
 その後、メンバーのネイト・ルイスはファンというバンドを結成して、2011年には"We Are Young"というシングルを発表しました。そして6週連続No.1になり、全世界で1000万枚以上の売り上げを記録しています。

 次はアメリカを離れて、大西洋を横切ることにしましょう。向かったところはイギリスです。90年代から2000年代にかけて一世を風靡したバンドにビューティフル・サウスという名前のバンドがありました。
 ポール・ヒートンという人が中心になって1988年に結成され、男性と女性のボーカルがポップなメロディに乗って、厳しい社会状況やシビアな人間関係を歌っていました。当時の彼らの人気は絶大なものがあり、10枚のスタジオ・アルバムのほとんどがトップ10以内に入っています。

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 そんな彼らが1994年に発表した4枚目のスタジオ・アルバムが「ミャオ」でした。当初は上図のようなデザインでしたが、音響会社のグラモフォンから自社のトレードマークを嘲笑しているとのクレームがついて、新しいデザインでプレスされました。それが下のデザインです。Big
 いずれにしても「犬」が描かれています。セールス的には全英6位を記録し、このアルバムから3枚のシングル・ヒットが生まれました。

 インド音楽の伝道師とも呼ばれたラヴィ・シャンカールの娘に、ノラ・ジョーンズがいます。早いもので彼女ももう38歳、2児の母親になりました。そんな彼女が2009年に発表した4枚目のアルバムが「ザ・フォール」です。彼女は、このアルバムの発表前に公私ともにパートナーだった男性との別離を経験しましたが、このアルバムを聞けば、そんな悲しみとともに、それを乗り越えた逞しさなども伝わってきます。81y66iykhhl__sl1300__2
 今までのジャズ系ではなくて、カントリー・ロック的なアプローチが新鮮です。このアルバム・ジャケットの裏にはもっとたくさんの犬が写っていたので、併せてそれも載せたいと思います。511ojlcptrl
 さて、そろそろ終わりの時間を迎える時が来ました。最後は現代の三大ギタリストの1人と呼ばれているアメリカ人のジョン・メイヤーです。1977年生まれの40歳(今年の10月で41歳)で、13歳からギターを始め、19歳でバークリー音楽院を退学してバンド活動を始めました。ギターのテクニックには定評があり、エリック・クラプトンなどとも共演しています。
 そんな彼が2013年に発表したのが「パラダイス・ヴァレー」です。草原に犬とたたずむジョンの姿が撮影されています。81uswndyjhl__sl1500_
 彼は、凄腕のギタリストですが、アルバムではその腕前は控えめに表現されていて、むしろ彼のシンガー・ソングライター的側面の方が強調されているようです。このアルバムでも、聞きやすくてポップなメロディーと柔らかな彼の歌声を楽しめることができると思います。711ysmqsmrl__sl1200_
 さて、いろいろと“犬のアルバム・ジャケット”を紹介してきましたが、もちろんこれら以外にもたくさんあると思います。それに、ポップ・ミュージックからギター・ロック、プログレッシヴ・ロックまで、幅広いジャンルに渡っているのにも驚きました。

 さあ、あなたは他にどんなアルバム・ジャケットを思いつきましたか。こうやって音楽を味わうこと以外にも楽しめるところが、ロック・ミュージックのみならず、音楽の持つ魅力の一つかもしれません。今年もそんなブログにしていきたいと考えています。


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コメント

 明けましてお目出度う御座います。
 う~~ん、成る程よく集めましたね、「犬ジャケ」って結構あるんですね。驚きました。
 私の懐かし感動盤はPAVLOVS DOGの「PAMPERED MENIAL」ですね。これありましたね、目下手元に出てきません・・・と、なると探すに元旦一日かかりそうです(笑)。ピアノ、ヴァイオリン、独特のヴォーカル驚きでした。
 今年もプロフェッサー・ケイ様の奥深く入り込んだブログを楽しみにいたします。御健闘ください。

投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2018年1月 1日 (月) 16時01分

 風呂井戸さまへ。ご丁寧な年賀の挨拶を送っていただきまして、本当にありがとうございます。本年もよろしくお願い致します。

 犬のアルバム・ジャケットは他にもあるようで、フリートウッド・マックの「タスク」やハート、ジョニ・ミッチェルなどなど、探せばまだあるようです。ロックはそれなりに幅広いようですね。
 
 風呂井戸氏の本年のご活躍を願っております。ご健康に気を付けて下さい。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2018年1月 2日 (火) 12時50分

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします😺犬を使ったJK結構有りますね。そう言えばヴァン・モリスン聞いた事無いなぁ。今年は聞いてみようかしら。初心者には何がお勧めですか?

投稿: 川崎の晴れ豚 | 2018年1月 4日 (木) 23時00分

 コメントありがとうございます、川崎の晴れ豚さま。明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
 ヴァン・モリソンときましたか。ヴァンはいいですよ。飛行機嫌いなので、日本には来日していません。もう恐らく来ることはないでしょう。来日していない最後の大物ミュージシャンでしたが、最後のままで終わるようです。

 そうですね、プログレ特集が終わったら、今度このブログでも取り上げてみようと思いますが、初めての人には「ムーンダンス」、「エンライトメント」、「アヴァロン・サンセット」などが個人的にはお勧めです。

 もしジャズが好きなら「アストラル・ウィーク」もお勧めだし、ライヴ盤ならどれもお勧め、一度で名曲群を味わうことができます。ぜひ一度試してみて下さい。一生に一度は耳にしてみても損はしないと思います。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2018年1月 6日 (土) 15時42分

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