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2018年4月 9日 (月)

ZZトップ(3)

 久しぶりのZZトップの登場である。最近、このバンドのアルバムを全部手に入れて聞いてみようと思い、徐々に集めてきた。すでに何枚かのアルバムは手に入れていて、このブログでもその感想などを綴らせてもらっている。

 それで今回は、彼らのデビュー・アルバムやライヴ・アルバムを聞いてみようと思って、早速手に入れて聞いてみた。
 本当は「70年代のZZトップ」ということで、発表順にアルバムについて書いてみようと思ったのだが、すでにセカンドやサード・アルバムについては既出しているので、今回は割愛した。

 今回も輸入盤を購入して聞いてみた。詳細についてはよくわからないところもあるのだが、個人的に耳にした音の感想を記しているので、多少異議があってもお許し願いたいと思う。

 その前に、“ZZトップ”という名前の由来について調べた。前々から気になっていたのだ。これはギタリストのビリー・ギボンズのアイデアから来たものである。
 ある時、ビリーが自分の部屋にはっていたミュージシャンのポスターを見ていた時、B.B.キングとZ.Z.ヒルのポスターに目が行った。 

 B.B.キングは有名なので今さら説明するまでもないが、Z.Z.ヒルという人は、テキサス出身のソウル&ブルーズ・シンガーだった人で、50年代後半から活動していたが、人気が出たのは80年代になってからだった。
 ただ残念ながら、1984年に自動車事故による怪我が悪化して亡くなっている。享年49歳だった。

 その2人の名前を合体させて、“Z.Z.キング”という名前を思いついたのだが、それではB.B.キングとあまり変わり映えがしないと思ったようだ。
 それで、『“キング”は頂上を意味しているだろう』と考えて、結局、“ZZトップ”という名前になったのである。

 そんなビリーは、ベーシストのダスティー・ヒルとドラマーのフランク・ビアードと一緒にバンドを結成した。1969年という昔の頃のお話だ。

 そして、プロデューサーのビル・ハムと一緒にアルバムを作り上げた。それが1971年に発表されたデビュー・アルバムの「ZZトップス・ファースト・アルバム」だった。71mr7nisdpl__sl1425_
 これがまた渋いブルーズ・アルバムで、個人的には気に入っている。アルバムはシングルカットされた"Shakin' Your Tree"で幕を開ける。ミディアム・テンポの曲で間奏のギター・ソロがキラリと光っている。

 2曲目の"Brown Sugar"はストーンズのそれとは真逆のテンポの曲で、スロー・ブルーズで始まり、2分後からノリのよいミディアム・ブルーズに変わる。5分32秒と、このアルバムの中では最も時間が長い。これも間奏とエンディングのギター・ソロがカッコいい。決して速弾きではないのだが、的確でノリがよい。ビリーのリズム感が優れているのだろう。

 3曲目の"Squank"と次の"Going Down to Mexico"にはベーシストのダスティーも曲作りに加わっているせいか、ボーカルで参加している。"Squank"にはバックアップ・ボーカルとして、"Going Down to Mexico"ではリード・ボーカルを取っていた。彼の声の方が幾分高く聞こえてくる。

 "Old Man"はカントリー・フレイバー漂うスロー・ブルーズで、多重録音されたスライド・ギターがタイトルのような雰囲気を醸し出している。

 ただこのアルバムは、こういうスローな曲やミディアム・テンポの曲がほとんどで、アップテンポの曲がほとんどというか、まったくない。強いて言えば、最初の曲"Shakin' Your Tree "と最後の曲"Backdoor Love Affair"くらいだろうか。71qsgsnyopl__sl1264_
 だからというわけでもないだろうが、セールス的には今一歩だった。ただ、3人組のシンプルなバンド構成ながら、粘っこいサウンドで注目を集めたのは間違いない。以後、毎年スタジオ・アルバムを発表して、徐々に人気、セールスともに向上していき、3枚目の「トレス・オンブレス」はビルボード8位まで上がって、ゴールド・ディスクを獲得した。

 これで自信を得たバンドが次なる作品として発表したのが、1975年の「ファンダンゴ!」だった。バンドにとって4枚目になったこのアルバムは片面はライヴ音源、もう片面はスタジオ録音による新曲で占められていて、いわゆる変則アルバムになっていた。

 最初の3曲はニューオーリンズにおける1974年4月のライヴ音源から収録されていて、最初の"Thunderbird"と次の"Jailhouse Rock"はカバー曲だった。81mnimbq4sl__sl1425_
 "Thunderbird"という曲は、元はテキサスでは有名だったローカル・バンド、ザ・ナイトキャップスの持ち歌で、ノリノリのパーティー・ソングだ。この曲の著作権をめぐってZZトップとザ・ナイトキャップス側で訴訟問題が起こったが、結局のところZZトップ側が裁判で勝訴した。

 "Jailhouse Rock"はエルヴィス・プレスリーも歌った曲なのでほとんどの人はご存知だと思う。残りの"Backdoor Medley"はオリジナルとカバーのメドレーになっていて、全体で9分25秒になっている。中身はファースト・アルバムの最後に収められていた"Backdoor Love Affair"をベースにして、その間にウィリー・ディクソンの"Mellow Down Easy"と最後にジョン・リー・フッカーの"Long Distance Boogie"が配置されていた。

 後半のスタジオ録音では、軽快でファンキーな"Nasty Dogs And Funky Kings"、レッド・ゼッペリンの"Since I've Been Loving You"のような"Blue Jean Blues"、ギターのカッティングが印象的な"Balinese"などが収められていて、どの曲も個性的で印象的だ。特に、最後の曲"Tush"はシングルカットされて全米19位まで上昇している。

 このアルバムの2006年にリマスターされたバージョンでは、1980年8月のニュージャージーにおけるライヴ音源による曲が3曲収められており、「ファンダンゴ!」のスタジオ録音曲である"Heard It on the X"と"Tush"がボーナストラックとして収録されていた。残りの1曲は"Jailhouse Rock"だった。51ofrhmfml
 確かに彼らのライヴ曲を聞けば、優れたライヴ・バンドということが分かるだろう。ファーストのようなミディアム曲中心の単調さはなく、ホットでエネルギッシュで、素晴らしくノリの良い曲が中心なので、本物のライヴを見てみたくなる。これもデビュー以来、南部を中心にアメリカ中をまわって培ったテクニックや演奏力の結果に違いない。

 彼らは、翌年にはこれまた素晴らしいアルバム「テハス」を発表し、ビルボードのチャートでは17位を記録した。前作の「ファンダンゴ!」が10位だったから、この頃の彼らはまさに第一次のピークを迎えていたことになる。

 それから約3年たって新しいスタジオ・アルバムが発表された。この間、彼らはアルバム「テハス」のプロモーションを兼ねての大掛かりなワールド・ツアー、“ワールドワイド・テキサス・ツアー”を続けた。その後、約3ヶ月にわたる完全休養期間を設けている。だからニュー・アルバム発表までに時間がかかったのであろう。

 そのアルバム「皆殺しの挽歌」は、再びZZトップのメインテーマであるスピードの速い車やゴージャスな女性、愛するテキサスの大地や音楽を反映させたものになっていた。
 タイトルはスペイン語で『虐殺』を意味するようで、これは1836年2月から3月にかけて行われた“アラモ砦の戦い”におけるスペイン軍のかけ声を意味しているという。81qv8ooxwcl__sl1079_
 肝心の内容はというと、これまたブルーズを基盤とした密度の濃いアルバムに仕上げられている。全10曲中、カバーは2曲だがこの2曲がまた素晴らしい。

 アルバム冒頭の"I Thank You"は1968年にサム&デイヴが歌ったもので、原曲はアイザック・ヘイズとデヴィッド・ポーターが手掛けている。スローな曲だが、独特の粘りと引きずるようなリズムが特徴で、非常にカッコいい。

 もう1曲の"Dust My Broom"はロバート・ジョンソンの曲。ビリーの演奏するスライド・ギターがエルモア・ジェイムズ風に演奏されていて、曲がいいから演奏も際立って聞こえてくる。
 それ以外にもシンプルなブギーの"She Loves My Automobile"、曲の途中にギターによる三連符が3回入る"I'm Bad, I'm Nationwide"などの佳曲が多い。

 これら以外にもスローなブルーズの"A Fool for Your Stockings"、語り風の、いわゆる“トーキング・ブルーズ”である"Manic Mechanic"、アルバムから最初にシングルカットされたファンキーな"Cheap Sunglasses"などもあって、どの曲もZZトップ印が付いているような彼らの特徴を示していた。

 それに、最後の曲の"Esther Be the One"は、意外とポップな曲になっていて、これをシングルカットした方がいいような気がした。大ヒットにはならないけれど、ベスト50内には入ったのではないだろうか。81qszdidfnl__sl1238_
 このアルバムから、彼らはレコード会社を移籍していて、当時のワーナーブラザーズから発売されている。大手であるワーナーのプロモーションのおかげで、チャート的には24位だったものの、セールス的にはプラチナ・ディスクを獲得している。ZZトップはアメリカでは押しも押されぬメジャーなバンドに成長したのであった。


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