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2018年9月24日 (月)

ライヴ・イン・ジャパン

 「ライヴ・イン・ジャパン」というタイトルのライヴ・アルバムは、たくさんあると思う。古くはザ・ベンチャーズやピーター、ポール&マリー、新しいところではフィル・マンザネラやアルカトラスなどがある。
 フィル・マンザネラやアルカトラスがなぜ新しいのかと不思議に思う人もいるかもしれないが、マンザネラは今年の2月に、アルカトラスの1984年の来日記念実況録音完全盤が4日後の9月28日に発売されるからだ。

 そんな数ある「ライヴ・イン・ジャパン」というタイトルのアルバムの中で、やはりこのアルバムが唯一無二というか、“ジャパン”という名前を世界に知らしめたのではないだろうか。そう、このブログの愛好者ならすぐに頭に思い浮かぶだろう(愛好者という人はほとんどいないと思うけれど)、ディープ・パープルの「ライヴ・イン・ジャパン」である。61pvrhc762l
 レコードとしては、1972年の12月に発表された。実際の録音は、その年の8月15日から17日の3日間、場所は東京の日本武道館と大阪の厚生年金会館(当時)で行われた。

 これは有名な話だが、このライヴ盤を制作するにあたって、いくつかの条件がバンド側から提出された。
 ①日本でのみ発売すること、ただし、発売するかしないかはバンド側が決める
 ②録音はバンド側が行い、機材は日本のものを使用する
 ③ミックスダウンはバンド側が行う

 なんか幕末に結んだ不平等条約のような感じがするが、要するに、バンドのマネージメント側としては、そんなに期待してはいなかったのだろう。2枚組のアルバムは値段が高額になるので、売れることはそんなに期待していなかったに違いない。
 バンド側としても契約上のアルバム消化につながるし、それなりのお小遣いも稼げると思っていたのだろう。Deep_purple_live_in_japan_1972c
 それに、基本的にバンド側は自分たちの熱狂的なライヴが、レコードでは再現されないだろうと思っていたようだ。ところが、ストーンズやザ・フーのライヴ盤が好評を得てからは少しは考えも変わってきたらしい。また、海賊盤対策という思惑もあったとのこと。彼らは、それまで公演の模様をライヴ盤として発表していなかったからだ。

 そんなバンド側の思惑に反して、このアルバムは日本では評判が良かったし、予想に反して、かなり売れた。バンド側も録音状態や内容に満足していたので、日本だけでなく母国イギリスやヨーロッパでも発売しようと決めて、やはり12月にイギリスで、翌1973年の4月にはアメリカでも手に入れることができるようになった。
 ただし、アルバム・タイトル名は「メイド・イン・ジャパン」に変更され、アルバム・ジャケットも日本盤とは異なっていた。71sxpky9fkl__sl1300__2
 チャート的には、オーストリアやドイツ、カナダでは1位、アメリカでは6位、イギリスでは16位を記録し、日本では30万枚以上、アメリカでは200万枚以上売れている。2枚組のライヴ・アルバムでは異例の売上げだった。

 そして、80年代の終わりにCD化されたときは、もちろんレコードと同じ7曲しか収められていなかった。CDは針も飛ばないし、多少汚れても音は変わらないし、傷もつきにくい。しかも途中で盤をひっくり返す必要もなかったから、1枚1875円で販売されても文句はなかっただけでなく、むしろあの名盤が手軽に聞くことができるようになってうれしかったことを覚えている。

 ところが、である。このアルバムもゼッペリンの「永遠の詩」と同じように、その後、完全盤が発表された。しかも手を変え品を変え、追加の完全盤が、紙ジャケット化も含めて、次々と発表されて行った。これは「永遠の詩」以上の編集の仕方だ。

 残念ながら、自分はそんなに詳しくはないのでよくわからないのだが、少なくとも1993年には3日間の公演の3枚組完全盤が、98年には25周年の2枚組リマスター盤が、そして、2014年には更なるデラックス・エディションまで発表されている。

 ただし、1993年の3枚組の完全盤といっても、1日目の大阪でのライヴでは演奏された"Smoke on the Water"はディスク1には収められていないし、その日のアンコール曲だった"Speed King"はディスク3にまわされていた。
 また、2日目の大阪のアンコール曲"Black Night"と"Lucille"は収録されていない。3日目の東京の分も同じように、当日演奏された"The Mule"とアンコールの"Black Night"はディスク3ではカットされているし、収録されていた"Speed King"は上にもあるように、初日の大阪公演のものだった。

 演奏順は実際の本番と同じ順番だったものの、やはりこの3枚組は、完全盤とはいっても8割くらいは完全なものであって、まだまだ不完全だったのだ。Kq23wfr4zy7auzx7i2rcsb
 ということで、2014年のデラックス・エディションは、それを補っている。ただ補ってはいるものの、3日分の本編と3日分のアンコール曲を分けていて、本編だけで3枚のCD、アンコール曲だけで1枚のCDに収めていた。たぶん収録時間の関係だろう。
 同時に、当時のドキュメンタリーDVDやプロモーション用のシングルCDも含まれていて、豪華6枚組ボックス・セット仕様だった。

 また、2014年のバージョンには廉価盤の2枚組CDも発表されていて、これはリミックスされた通常の7曲と、3日分のアンコール曲が収められた2枚組だった。演奏順については、6枚組は当時と同じだったが、2枚組の方は"Child in Time"と"Smoke on the Water"が入れ替わっていて、前者が2曲目、後者が3曲目に配置されていた(実際の演奏は"Smoke on the Water"から"Child in Time"の演奏順だった)。

 自分が持っているのは、1998年の25周年記念のリマスター盤2枚組である。これは残念ながら曲順は通常盤と同じものの、アンコールが3曲入っていて、つまり3日間で演奏された曲だけはアンコールを含めて1曲ずつ聞くことができるものだった。
 ちなみに、アンコールの"Black Night"と"Speed King"は最終日の東京バージョンで、最後の曲の"Lucille"は16日の大阪バージョンだった。51kzbh8cl
 自分のようなパープル・ファンなら、この2枚組がちょうど合っているような気がした。しかも輸入盤だったし、お値段も手ごろだった。

 というわけで、ゼップのライヴ盤は、確かに今年リマスター盤が出たものの、ディープ・パープルのような編集方針は取っていない。ジミー・ペイジはケチだとか、セコイとか言われているが、あくどい金儲けをしているのは、実はパープルの方なのかもしれない。

 そういえば来月彼らは来日するが、これが最後のライヴともいわれているから、そのライヴも録音してアルバムを発表するかもしれない。そのときは、できれば最初から完全盤を出してほしいものである。


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