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2018年10月22日 (月)

デレク&ザ・ドミノス(2)

 デレク&ザ・ドミノスをブリティッシュ・ロックに分類するのはいかがなものかとは思うのだが、バンド・リーダーがエリック・クラプトンということなので、お許し願いたい。クラプトンがアメリカ人ミュージシャンと結成したバンドが、デレク&ザ・ドミノスだったし、やっている音楽もブルーズやサザン・ロックに影響を受けているものだから、本来はアメリカン・ロックの範疇に入るのだろう。

 それで、“レコードの時はショボかったけど、CD化されてお買い得になったアルバム”シリーズ第6弾は、エリック・クラプトンが在籍していたデレク&ザ・ドミノスのライヴ・アルバムについてである。

 クラプトンについては何回もこのブログで取り上げているので、今さら詳しく説明はしないし、デレク&ザ・ドミノスについても既出なので、詳細は省きたい。
 ただ、エリック・クラプトンという人の人生は、まるでジェット・コースターのように激しく上下していたし、特に1970年という年は、クラプトンにとっては分岐点だったのではないかと考えている。

 以前にも書いたのだけれども、クラプトンはブラインド・フェイス解散後、デラニー・ブラムレットらとアメリカ・ツアーを続けていた。同時に、ツアー・メンバーだったジム・ゴードンやカール・レイドル、ボビー・ウィットロックとともにバンド活動を始め、レコーディングを行った。そのアルバムが歴史的名盤と言われている「いとしのレイラ」である。

 さらにまた、初めてのソロ・アルバムを制作し、“ギタリストのクラプトン”から“ボーカリストのクラプトン”へと重心を移そうとしていた。
 これらはいずれも1970年を中心にクラプトンの周りで起きていた出来事であって、いかにこの年が充実していて、彼にとって重要だったかが分かると思う。

 それで、「いとしのレイラ」を発表したクラプトンを含むデレク&ザ・ドミノス一行は、ライヴ活動を行うのだが、1973年には「イン・コンサート」としてライヴ・アルバムが発表された。61kegn40jcl
 このアルバムは、ニューヨークのフィルモア・イーストにおける1970年10月23日と24日の2日間、それぞれ昼夜2公演から抜粋された計9曲(最後の曲をメドレーとしてカウントすれば計8曲)が収められていた。

 ただ、1973年にはすでにデレク&ザ・ドミノスは解散していたから、なぜこのアルバムが発表されたのか、アルバム契約枚数を消化するためか、あるいはヤク中から回復しようとしていたクラプトンの治療費を稼ぐためだったのか、よくわからない。
 いずれにしてもこのアルバムは、スタジオ・アルバム1枚、しかもそれがロックの歴史に残るような名盤を残して解散したバンドによる貴重なライヴ・アルバムだったから、待望のライヴ盤になったのだ。

 しかし、如何せん曲数が少ない。2枚組とはいえ8曲や9曲、約90分ではファンとしてはまだまだ満足できなかっただろう。おそらくまだ未発表曲があるだろうとファンは思っていただろうし、実際、その考えは正しかったのである。

 1994年に「ライヴ・アット・ザ・フィルモア」として、未発表曲を含む全13曲、約122分のフル・ヴァージョンが発表されたのだ。71ja5mlnqel__sl1284_
 このアルバムには、「イン・コンサート」の中の9曲中6曲が含まれていた。それらは次の曲であった。
"Got to Get Better in A Little While"
"Blues Power"
"Have You Ever Loved A Woman"
"Bottle of Red Wine"
"Roll It Over"
"Presence of The Lord"

 残りの曲で未発表曲、つまり「イン・コンサート」と違うテイクは次の通り。
"Why Does Love Got to Be So Sad?"
"Tell The Truth"
"Nobody Knows You When You're Down and Out"
"Little Wing"
"Let It Rain"

 残りの2曲は、1988年の4枚組CDボックス・セットの「エリック・クラプトン・アンソロジー~クロスロード」に収められていたフィルモアでの23日と24日のライヴ曲で、ディスク2の最後のアンコール曲"Crossroads"が23日の2回目公演、"Key to The Highway"が24日の2回目公演から収録されている。

 このシリーズは“レコードの時はショボかったけど、CD化されてお買い得になったアルバム”というものだが、「イン・コンサート」については決してショボいレコードとは思っていない。
 むしろ当時は、デレク&ザ・ドミノスが残した唯一のライヴ・アルバムということで、大変貴重なものだと個人的には崇め奉っていたくらいだった。

 ただ、約90分の収録時間が「ライヴ・アット・ザ・フィルモア」では約122分になっていたし、未発表曲もあったから、「イン・コンサート」の影が薄く感じられてしまった。

 この時のクラプトンは、まだまだ元気がよかったし、さあこれから自分のキャリアを築いていくぞという勢いがあった。だから私生活でも許されない恋に走り、それに悩みながらも求めて行こうとするエネルギーがまだあった。

 このライヴ・アルバムでも、シンガーとしてはまだまだだが、ギタリストとしてはまさに神がかっていると思えるほど弾きまくっていて、“ギタリスト・クラプトン、ここにあり”といった感じだった。71sevhmlvil__sl1050_
 ところが、翌1971年になると、バンド内の対立からデレク&ザ・ドミノスは解散し、フィルモア・ライヴから約1年後には盟友デュアン・オールマンが交通事故で亡くなり、私生活ではジョージ・ハリソンとの三角関係で悩むといった様々な問題が起きてしまい、クラプトンはアルコールとドラッグ依存症に陥ってしまうのである。

 このあと表舞台から身を隠すように消えていったのだが、「レインボー・コンサート」をきっかけに徐々に活動を開始していく。しかし、これ以降のクラプトンについては、別の機会に譲りたい。別の機会があればのお話だが…

 ただ、今年の11月7日にはクラプトンの新作が発表されるが、そのタイトルは「ハッピー・クリスマス」といい、クリスマスの企画ものアルバムである。71ji7dhlvxl__sl1500_
 クリスマスの定番ソングなどのいくつかは、ブルーズにアレンジされているそうだが、心身ともに幸せそうな彼の近況が伝わってきそうなアルバムだ。でも個人的には、生活に満足しているブルーズマンの音楽といったものは耳にしたくないのである。


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