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2018年12月 3日 (月)

オールマン・ブラザーズ・バンド(3)

 いよいよ師走になった。平成最後の12月になった。本来なら今年を振り返ってのアルバムなどを発表するのだが、今回と次回は、もう一度、“レコードの時はショボかったけど、CD化されてお買い得になったアルバム”について記そうと思う。

 本当は前回のチープ・トリックの項で、このシリーズは終わろうと思っていたが、もう2回分だけ、英米を代表するバンドのアルバムについては紹介した方がいいだろうと考えた。
 そして、今回はアメリカン・ロックの中から、オールマン・ブラザーズ・バンドのライヴ・アルバム「フィルモア・イースト・ライヴ」について記すことにした。81swjjuy5ql__sl1400_
 オールマン・ブラザーズ・バンドについては、以前もこのブログに書いているので、詳細は省略したいが、ごく簡単に言うと、彼らは、いわゆる“サザン・ロック”といわれるジャンルに属していて、アメリカ南部の泥臭いブルーズを洗練させ、その上で豪快で迫力のあるロックンロールを演奏していた。この“サザン・ロック”という言葉自体が市民権を得るようになったのも、このオールマン・ブラザーズ・バンドの影響といってもいいだろう。

 彼らは1969年にデビューし、2枚のスタジオ・アルバムを発表するもなかなか売れず、全米的にはまだまだ名前は知られていなかった。
 それがこのライヴ・アルバム「フィルモア・イースト・ライヴ」で一挙に全米を代表するバンドのひとつになっていき、先ほどにもあるように、“サザン・ロック”という言葉が知名度を得たのである。

 このアルバムは、1971年の発表当時では2枚組全7曲だった。当時はレコードだったから、レコード4面で7曲ということは、平均すると1面で1~2曲になる。正確に記すと、当時の曲構成は以下のようなものだった。
サイドA
1.Statesboro Blues
2.Done Somebody Wrong
3.Stormy Monday
サイドB
4.You Don't Love Me
サイドC
5.Hot 'Lanta
6.In Memory Of Elizabeth Reed
サイドD
7.Whipping Post61selz2ol_2
 このアルバムについては、全体で約78分だったから、短い曲ならもう2曲くらいは含まれていてもおかしくないと昔から思っていた。だから1989年にCD化されたときには、レコードとは違って曲数が増えているのではないかと期待していたのだが、残念ながらそうはならなかった。81ex50ndrtl__sl1411__2
 話は前後するが、このフィルモア・イーストのライヴは、彼らにとっては3度目の公演になった。一番最初は、1969年12月で、その時はブラッド、スウェット&ティアーズのオープニング・アクトだった。次が翌年の2月のグレイトフル・デッドと共演したときだった。

 ライヴ・アルバム「フィルモア・イースト・ライヴ」がレコーディングされたときは、1971年3月12日と13日の金曜日と土曜日で、週末ということもあり多くのオーディエンスが駆けつけていた。
 この時は2日間で計4回のライヴ公演が行われており、それぞれ午後8時からと午後11時30分から始まっていた。1回目と2回目の公演の間は、そんなに時間間隔があいていなかったので、午後8時からの公演は約1時間程度のコンパクトなものだった。

 ただ、13日の2回目の公演の前に爆弾予告の電話があって、ライヴは一時中断している。その後再開したのだが、最後の曲"Drunken hearted Boy"が終了したときは朝の6時を超えていたという。こういう経験はめったにないことだろう。

 彼らは1972年に、当時のレコードでは2枚組だった「イート・ア・ピーチ」というスタジオ録音とライヴ曲が混合されたアルバムを発表していて、このアルバムにも3曲のフィルモア・イーストにおけるライヴ音源が含まれていた。要するに例えていうならば、オールマン・ブラザーズ・バンド版「クリームの素晴らしき世界」だろう。61pgbqhggl__sl1400_
 そしてこの時の3曲"Mountain Jam"、"Trouble No More"、"One Way Out"が、1992年に発表された「フィルモア・イースト・ライヴ」拡大版に収録された。

 さらにこのアルバムにはそれまで収録されていなかったフィルモアでのライヴ曲、"Don't Keep Me Wondering"と"Drunken Hearted Boy"も含まれていて、全部で12曲になっていた。こうなると、確かにレコードよりは充実しているように思えるし、実際のライヴ感覚に近づいてきたように思える。

 ところが、2003年の9月に入って、このライヴ盤のデラックス・エディションが発表された。それにはもう1曲、ディスク1の最後に"Midnight Rider"という2分55秒の短い曲が収録されていて、これで全13曲という内容になった。もとのレコードから考えれば、2倍近い増量になっている。7176ppiuxl__sl1098_
 また、このデラックス・エディションでは曲順も代えられていて、実際の演奏順に近いものになっていた。ちなみに、拡大盤とデラックス・エディションの"One Way Out"と"Midnight Rider"の2曲は場所はフィルモア・イーストだが、録音時は同年の6月27日のものが使用されていた。71uiwzifkhl__sl1096_
 この6月27日というのは、この日をもってフィルモア・イーストを閉鎖するという、いわば最終公演の歴史的な日だった。出演したバンドは、オールマン・ブラザーズ・バンド以外に、J.ガイルズ・バンド、アルバート・キング、特別ゲストとして、マウンテン、エドガー・ウィンターズ・ホワイト・トラッシュ、ザ・ビーチ・ボーイズなどであった。

 そして、これでもう最終版だと思っていたのだが、ところが商魂たくましいレコード会社は、さらに「フィルモア・イースト・ライヴ」完全版を2014年の6月に発表した。これは1971年の3月12日と13日の4公演と6月27日の公演を、美しい写真集とともに6枚組のボックス・セットに収めたもので、全37曲、6時間を超える名演奏を堪能することができる。まさに歴史の目撃者を実感させるような内容になっていた。715tlbonyl__sl1295_
 とにかく長生きしてよかったと思わせるような名演奏の数々である。確かにレコードとしての音の質感や温かみなどは独特のものだし、レコードならではの味わいはあると思うのだが、せっかくの未発表の音源があるのであれば、たとえCDであったとしてもやはり聞いてみたくなるのが人情というものだ。81nrjxiu4l__sl1500_
 デュアンが亡くなってもう45年以上が経つし、弟のグレッグ・オールマンも昨年の5月に病気で亡くなった。もう再びバンドが息を吹き返すことはないだろう。"In Memory Of Allman Brothers"である。


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