スティーヴ・ヒレッジ
スティーヴ・ヒレッジのアルバムは2枚しか聞いたことがない。だからあまりたいそうなことはいえないのだが、いずれも一聴しただけで、彼のアルバムということがわかる。それほどユニークであり、かつ彼でしか出せない独特な音作りをしているのである。
彼はデイヴ・ステュワートと「スペイス・シャンティ」というアルバムを制作したあと、ケヴィン・エアーズのバンドに加入したり、72年からフランスに渡ってゴングで活躍したりした。素晴らしいアルバムを3枚発表したあと、1975年にソロ・アルバム「魚の出てくる日」をヴァージン・レコードから発売した。
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Fish Rising アーティスト:Steve Hillage |
このアルバムはゴングもメンバーも参加していて興味深い。特にリズム陣のピエール・ムランとマイク・ハウレットの演奏は素晴らしく、スティーヴとのギターとの共同作業は緊張感をもたらし、それにデイヴ・ステュワートのオルガンやティム・ブレイクという人のシンセサイザーの音色が浮遊感を与えてくれる。
特に1曲目"Solar Musick Suite"(綴りミスではない!)の10分過ぎでは、珍しくエフェクトの少ない彼の流麗なギター・プレイを堪能できる。名演である。
短い曲2曲を挟んで、"The Salmon Song"でも時にアップテンポな演奏が行われていて高揚感が伝わってくるのだが、これは同様のリフを繰り返し演奏しているからで、こういう手法が後に彼をテクノ・ミュージックに走らせたのだろう。
そして最後の曲"Aftaglid"は7つのパートに分かれていて、時にハードに、時にスローにリスナーに迫ってくる。途中でエレクトリック・シタールやタブラを使用しているのだろうか、インド風の旋律も聞こえてきて、ユニークな曲風がいかにも彼らしい。
ひょっとしたらクィーンのブライアン・メイは、スティーヴ・ヒレッジから影響を受けているのかもしれない(ブライアンは一切そんなことは言っていないけれども!)。それほどディレイ・マシーンとエコーを使用していて、一人多重録音のようなギター演奏を行っているのである。
このアルバムを初めて聞いたときは、高校生の頃だったかもしれない。まだ彼の良さはわからなかった。しかし後にじっくり聞いてみて、実は彼の演奏テクニックは只者ではないということがわかったのである。
もう1枚の自分の持っているアルバムは1978年の名作「グリーン」である。このアルバム、タイトル通りの緑色のジャケットに包まれており、アルバムのプロデューサーはピンク・フロイドのニック・メイソンであった。
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Green アーティスト:Steve Hillage |
このアルバムがまた素晴らしく、本当に彼はギターが上手だということがわかるのと同時に、スペイシーな音響空間やディレイを効果的に使用したエレクトリック・ギターの音色が心地よい。
特に4曲目"Palm Trees(Love Guitar)"では、アコースティック・ギターから始まり、スローな展開から徐々に盛り上がっていく格好になっていて、彼の特長であるエフェクティヴなギターが炸裂している。最後はまどろむようにエンディングを迎えていて、宗教的瞑想や何らかの悟りを得るためのBGMとしても使えそうである。
またファンキーな"Unidentified(Flying Being)"も含まれていて、ジャズやロック以外にも、意外に彼の音楽性が広いことがわかる。そういう意味でも器用なミュージシャンなのだろう。
この曲の後半では、かなりギターを弾きまくっていて、それが切れ目なく次の曲へとつながっている。この辺はプロデューサーのニック・メイソンの指示なのかもしれない。
最後の曲"The Glorious Om Riff"はどこかで聞いたような曲だと思ったら、ゴングの曲のリメイクだった。ホークウィンドの曲以上にサイケデリックであり、シンセサイザーとギターの構築する音空間が非常に印象的なのである。こ気味良いリズムが刻まれて、それにギターが絡む様が彼流なのだ。
だからアルバム後半ではまるで組曲のようになっていて、ずっと聞き込んでいるとトランス効果が生じて、人によっては瞑想、酩酊状態、ナチュラル・ハイになり、高揚感がうまれてくるかもしれない。某芸能人のように薬物を使用しなくても、このような音楽を聞けばトランス状態になれる可能性はあるように思うのだが、どうだろうか。
彼は有能なミュージシャンであり、エフェクト類を使用しなくても巧みなギタリストであることがわかる。
ローリング・ストーンズのミック・テイラーがストーンズを脱退したあとの後任の候補の一人として、スティーヴ・ヒレッジの名前が挙がっていたというのが面白い。彼が加入したストーンズの音を想像してみると、奇妙な気がする。やはり彼はソロとして活動した方がいいだろう。
彼は80年代、90年代はギタリストよりも、プロデューサーとしてシンプル・マインズやザ・シャーラタンズなどのアルバム制作に携わったことで再び脚光を浴びた。また自身のバンド、システム7を運営し、テクノやアンビエント・ミュージックに取り組んでいる。
2007年には手塚治虫の“火の鳥”にちなんでアルバムを発表している。58歳になったスティーヴだが、まだまだ現役のカンタベリー系ミュージシャンなのである。
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Phoenix アーティスト:システム7,ジャム・エル・マー,スラックババ,デヴィッド・アレン,ソン・カイト,ミト,イート・スタティック |
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